医療現場で問題となるモンスターペイシェントの為に、病院側は様々な被害を受ける事があります。被害の実態を知る事で、モンスター化した患者さんから身を守る事、病院を守る事を考えていかなければいけません。
近年、クレーマー問題は社会的な問題になってきています。医療現場で理不尽な要求、暴言を吐く事など、現場や治療に混乱を招くのがモンスターペイシェントです。モンスターペイシェントも医療現場でのクレーマーですので、対処は簡単ではありません。大規模病院であればスタッフの人数も多くなりますので、連携して対処していけますが、小規模の病院になるとどうしても1人の看護師に的が絞られてしまいます。その為、うつ病になってしまったり、退職をしてしまう看護師もいるのが被害実態のひとつになります。
ただ、クレーマーには対応の仕方が無い訳ではありません。毅然とした態度をとる、相手の話をきちんと聞く事でクレームに繋げないように出来ます。それでも、診療や治療にまで影響を与えるモンスターペイシェントになりますと、法的手段に出るしかありません。その際は、専門家にしっかり相談する事が大切です。
医療業務を妨害してしまうモンスターペイシェントですが、問題が深刻化すると風評も悪くなる恐れがあります。今やネット上では病院の口コミサイトもあります。モンスター化した患者さんが、ある事ない事をサイト上に書き込みする事で風評被害に繋がる可能性もあります。実際に病院の口コミサイトには、どの様な理由か不明ですが、特定の病院を叩く文面を目にする事もあります。
現在、全国の医療機関でモンスターペイシェントの対応、対処法のセミナーや研修会を開催していますので、知識をつける為にも参加しておくと良いと思います。ただ、モンスターペイシェントの見分け方は難しいので、日頃から看護師や医師、他スタッフ皆で協力してモンスターペイシェント問題に取り組まなくてはいけないと考えます。
モンスターペイシェントントは、生活困窮者に多いというのが医療従事者の中で共通認識となっています。年齢は30代から50代が多いとされています。また、現在はネットで善し悪し関係なく情報が拡散されていますので、間違った知識を頭に入れてしまう事がモンスターペイシェントを生むきっかけになるとも言われています。
2011年、私立大学病院医療安全推進連絡会議は病院職員3万人程を対象に調査したところ、患者さん及びその家族から理不尽な行為を受けたとの回答が、半数近くの44.3%にもなる事が分かっています。実例にもあるように、医師の説明が不十分だと憤慨して缶コーヒーを医師に投げつ、顔を骨折させる事件もありました。しかし、警察沙汰にすると何かと厄介と考える病院も多く、大体は落ち着かせて帰らせる事が大半なのです。
そんな中、対策を取っている病院もあります。東京都内のある大学病院では、10年ほど前から院内暴力の対策として、警察官のOBを職員にして院内を巡回しています。また、警備員を配置する病院も増えてきました。看護師や医師は余計な心配をせずに看護や診察に当たりたいですし、それが患者さんが最も望む、より良い医療への道になるのです。医療従事者と患者さんが、礼儀や感謝、思いやりを無くしてしまう事は、医療は崩壊していく原因となるのです。