近年、医療現場でも深刻な問題になりつつあるモンスターペイシェントです。ただ単純に口やかましい患者さんとしては済まされない事が背景にあります。ここでは、モンスターペイシェントの背景や対処法が何処にあるのか見ていきましょう。
モンスターペイシェントはひと言で言ってしまえば、モラルに欠けた患者さんの事を言います。モンスターペイシェントは、病院に行けばすぐ薬や治療をしてくれ、病気や怪我が完治すると思い込んでいますので、自分が理想とする結果にならないと暴言や暴力、理不尽なクレームや要求などをしてきます。その為に、治療が困難になったり、入院を継続出来なくなる事が実態としてあります。
そして、このモンスターペイシェントに対応する事が多くなるのは看護師なのです。ベテランで経験値の高い看護師であれば対処法が分かっていたり、平常心を保つ事も出来ますが、新人看護師や経験値が少ない看護師の中には、モンスターペイシェントが原因でうつ病になってしまったり、退職を余儀なくされる人がいるのも実態としてあります。
モンスターペイシェントに対して、話をきちんと聞いて対応する、まずは怒りを鎮めさせる為に謝罪したりと色々対応方法がありますが、逆に怒りをエスカレートさせてしまう対応もあります。そのひとつは、感情的な患者さんに対して看護師側も感情的になってしまう事です。相手が大声で怒鳴り始めると、こちらもつい威圧的に大声になってしまいがちですが、ここは落ち着いて冷静になり、呼吸を整えたままで相手に話すことが大事です。
また、相手が話している途中にこちらの話を被せて話したり、相手の言い分を最後まで聞かないのも良くありません。相手の言い分を聞く時は傾聴と共感がとても大事です。自分の話を最後まで聞かずに意見されるのは、誰だって嫌な事です。ましてや相手が興奮状態の時に相手の話を遮ってしまっては、油に火を注ぐばかりです。
その他、責任転嫁をする事も相手の怒りを買ってしまいます。私のせいではないのでどうしようも無いなどの良い訳は、更にハードなクレームに発展しまう可能性がありますので、絶対に口にしないようにしましょう。
モラルの無い言動をしてくるモンスターペイシェントですが、相手の怒りに乗ってしまってはいけません。看護師は常に患者さんに寄り添って話を聞くのも仕事です。ですので、常に平常心を保つ努力が必要となりますが、相手の暴言が止まらない場合は別室に移して最後まで話を聞いてあげる、挑発に乗らない、医療の専門用語を使わず分かりやすく説明するなど、とにかく相手の言い分や気持ちを受け入れなくてはいけません。
それでも対応が出来ない時は、他スタッフに代わって貰う、複数で話を聞くなどの工夫も必要です。また、普段から問題行動を起こしそうな患者さんには、あらかじめフォローを入れておく事も大切です。いくらモラルが無いと言っても、1人の患者さんである事に違いはありません。看護師が不安や不満に耳を傾ける事で、モンスターペイシェントであってもコミュニケーションが取れたり、第二、第三のモンスターペイシェントを作らない事にも繋がるのではないでしょうか。