モンスターペイシェントの中には、さほど悪意のないクレーマーもいます。しかし、それでもやはり、対応に困るクレームが存在します。ここでは、対応に困るクレームの実例とその対応法を一緒に見てみましょう。
日常的なクレームとしては、病院またはクリニック、看護師個人に態度が悪い、院内の設備が悪い、治療が悪いなどとクレームをつけられる事が一番多いかと思います。職員の態度が悪い、院内の設備が悪いといったクレームは、適切に謝罪して改善を図れば大きなクレームには繋がりにくいですが、治療したにも関わらず治っていないなどのクレームになると簡単には対応できなくなる恐れがあります。何故なら、後に医療過誤訴訟にまで発展する可能性もあるからです。その際は、患者さんのクレームが事実なのか検証する必要が出てきます。
しかし、民法656条に沿うと、患者さんと医療機関との契約は、いわゆる準委任契約となります。この契約は、治療義務は発生しますが、その病気の完治を約束したものではありません。その為、治っていないという訴えは無効になる場合があるのです。ただ、明らかに治療行為にミスがあった場合は、医療事故として扱われる事になります。
患者さんからのクレームに多いのは、看護師や医師による説明に関するものが多いです。医師法では、医師や看護師、その他の医療の担い手は、 医療を提供する際に適切な説明を行い、医療を受ける患者さんの理解を得る事と定められています。いわゆる、インフォームドコンセントと呼ばれるものです。それに沿うと、患者さんへの説明は義務であって必要不可欠なことなのです。
しかし、患者さんのほとんどは、医療内容を知らない人ばかりです。説明する上で、専門用語が並んで理解できなかったり、次々と説明されても意味が分からない時もあります。そうなるとクレームに繋がってしまいがちです。説明には患者さんが本当に納得するまで質問に答えたり、専門用語を分かりやすく説明するなどの工夫も、モンスターペイシェントを作らない為に必要です。
また、患者さん本人から説明したことに対する確認書を貰うようにしましょう。同時に、説明をしたことについてカルテにも記載する事も良いでしょう。
その他、患者本人だけではなく、その家族に対しても説明をする事がありますし、患者さん自らが治療を受けなくなった場合や、患者さんが故意に説明を聞かない場合でも、 医者に必要な説明をすることが要求されています。
モンスターペイシェントの中で一番怖いのは、脅迫や暴力行為です。病院や看護師個人に脅迫がある際は、録音する事が良いでしょう。後に本当に脅しなのかを検証もできますし、法的手段に出る時には証拠となります。しかし、本当に脅迫がある場合は警察に相談する事が必要です。個人的なやり取りは絶対にしないで下さい。
また、暴力行為に関しては、その暴力の程度にもよりますが、警察に相談する事を検討しましょう。ただ、精神疾患のある患者さんであれば、急に怒り出したり、暴れだす事は予測できますので、事前の対策を講じましょう。
以上のように、日頃からモンスターペイシェントについての知識やその対応法、または患者さんへの接遇を学ぶ事もクレーム改善となります。現在、セミナーや研修方式で患者さんの接し方、クレーム対応法を教える医療機関が増えています。
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